静岡県議会議員 野崎正蔵(のざきしょうぞう)公式サイト・のざき正蔵の県まで届け!磐田の声

自治体の経営という考え方について
2002/09/21

人々が一定の生活水準を手に入れ始めた1960年代の高度成長期から、公共サービスは全て行政が行なうという考えが中心となり、行政の守備範囲は大きく拡大してきました。その中で、私達は「豊かさ」と「利便性の向上」を手にしてきました。しかし、現在その制度・仕組みがギシギシと歪みだしているのが現代だと考えています。
現在の日本の状況は、明治維新、戦後改革に匹敵する「第3の改革」と呼ばれています。またこの「第3の改革」は、黒船が来たとか戦争が終わったなどの「明確な切っ掛けがない」とも言われています。「第三の改革」は、一般的な生活者にとっては、喉に刃を突きつけられるような形で改革を迫っていません。たとえば「地方分権の推進」や「地方財政制度の見直し」などがそうです。だから社会の様々な分野で、その危機的状況を論ずる場面があったとしても、その危機的状況を多くの人が、直接肌で感じにくいのが現状ではないかと思います。
しかし現状は、行政、財政、経済、金融、社会保障、教育、環境、食料など、広い分野に及んで深刻な状況となっており、一人でも多くの方が、この現状に対する認識をきちんと持つことがなければ、第三の改革は始まらないのだと感じています。
この改革に当っては、必ずしも万能な手本が存在しません。したがって今回の改革は、自分たち自らが問題意識をもって課題を発見し、衆知を集め、自分たち自らの決断と行動でその課題を乗り越えて行くことが重要となります。このことは、国と地方、官と民、個人と公を問わず、日本のあらゆる分野において必要なことであり、利己主義的ではない社会性に根ざした自主性や自立性が、ぜひとも必要な状況になっていると思います。
私達は新ためて、「自治体とは何か」「地域とは何か」あるいは役所は、地域においてどのような働きをすべきなのかということを考えていく必要があるのではないでしょうか。住民は、公共性と私的利益の追求のバランスをもって、まちづくりの主役としての主張と行動をし。役所は、それを予算の面と技術面においてサポートするというのが、住民と役所の本来的な関係ではないかと考えます。「団体自治」と「住民自治」が車の両輪となり、そこに暮らす人達の生活の維持・発展に推進力をつけることが重要です。そして、受益と負担のバランスがとれたかたちで、公共サービスの量と内容が決定されるメカニズムが成立していなければ、地方自治における、意思決定やサービスまた補う財源のバランスは歪んでしまうと考えます。現在の日本がまさにその歪みに喘いでいるとも言えそうです。
地方公共団体の役割とは、自治法の第1条の2に「 地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。」と書かれており、第2条14項には 「地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」とされています。
私達が、日常当たり前のよう送っている生活も、実に様々な「制度や仕組み」から成り立っています。「立法・行政・司法」「社会資本・社会保障・福祉・教育等」「ゆりかごから墓場まで」そして私達は、身近な生活共同体として「地方公共団体(自治体)」を組織しています。
日本のムラ社会には寄り合いというものがありました。ムラの寄り合いでは、みんなに共通するような問題や、共通はしないけれども生活をしていくうえで個人が自力では解決できない問題などが、話し合われていました。たとえば町へ通じる道路が大雨で崩れたからみんなで道具を持っていって直そうかなどという話など、とにかく方針も自分たちで寄って集まって決める。そして、それを直したり活動したりするのも自分たちが直接行う。これが自治のまず一番原始的な形だと考えます。つぎに人々の生活様式が少し複雑になってくると、みんなが労働奉仕をできなくなる。あるいは材料を出せなくなる。みんなが同じ農業という職業なら生活のパターンは同じなのでしょうが、農産物を町に売りに行く人もいるかもしれない。そういう人は労働力を出せないから、お金を出してその分を補おうということになるかもしれない。それで自治の形が一歩複雑になる。その次、さらに生活が複雑になってくれば、やる仕事も増えてくる。どうせ仕事が増え継続してやるべき仕事だとすれば、専門の人を雇ってやってみたらどうかという話になる。その次の段階は、さらに仕事や生活の多様化が進むと、同じ場所に同じ時間に寄って集まれなくなるかもしれない。じゃ、代表を決めて方針を決定してもらおうかということになるかもしれない。そんなことでだんだん自治というものは複雑になってきました。それぞれの時代背景の中で、そこに暮らす人々のニーズをくみ取り達成させるために、自治体の形や仕組みも変化を遂げてきました。l これらの変化の基本目標は、そこに暮らす人々の生活の維持・発展にあったと考えられます。
時代は大きくうねり始めています。私達は、これまで積み残してきた問題やこれから起こりうる課題に対して、当事者として立ち向かわなければなりません。今起きている時代のうねりはボクシングでいえば、カウンターパンチではなくボディーブローのようなダメージとして効いてきていると感じています。「今に見ていろ」と思ったときには、闘う気力さえなくなってしまうのかもしれません。阪神・淡路大震災は、私たちに多くの教訓を与えていますが、その中の1つとして行政体制のあり方を考えさせられる事柄があります。淡路島は、1市10町で構成されております。この1市10町という行政区域の壁が、震災直後の救援活動のあり方に疑問を残しています。行政区域の壁があるため、救援活動は各自治体の中での活動が最優先され、結果的に被害の最も大きかった町の救援が優先されるということにはなかったといいます。また、行政組織だけではまかないきれない様々な課題も提起されました。
おおきなうねりに立ち向かうため、自治のあり方についてみんなで考えていく必要を感じる今日この頃です。
<メ モ>
◎「自治」とは?
・自分たちのことを自分たちで処理すること。許される範囲で自らが選んだ代表者を通して行政・事務運営を行うこと。
◎「地方自治」とは?
・国家が、国家の内部において、国家とは別の人格を持つ独立した地域的団体の存在を認め、その地方における地方公共の事務を、その地域的団体に自主的に処理させることをいう。
◎「自治権」とは?
・地方における地方公共の事務を、国家とは別の人格を持つ独立した地域的団体が、その権限と責任において、自主的に処理する権限をいう。
◎「団体自治」とは?
・国家権力が自治的団体の存在を認め、これに自治権を付与するなどの仕組み。
◎「住民自治」とは?
・自治的団体の運営に住民が自発的・積極的に参画し、その創意と工夫によっておこなわれること。
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